まひろのライトノベル感想文

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【レビュー】銃皇無尽のファフニールⅧ-アメジスト・リバース-

銃皇無尽のファフニールⅧ-アメジスト・リバース-

 

銃皇無尽のファフニール8 アメジスト・リバース (講談社ラノベ文庫) [ ツカサ ]

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※この記事は若干のネタバレを含みます!/

 

 “黒”のヴリトラの手により眠りにつき無力化された深月、“紫”のクラーケンの子─クラーケン・ツヴァイにより次々と変色していくクラスメイトたちの竜紋、この危機に物部悠は、クラーケン・ツヴァイを倒すことを決意する。そう、ドラゴンではなく人として認識し、悠の中の”悪竜-ファフニール-“を呼び起こすことによって…。だが、悠の元同僚・ジャン・オルテンシアは、クラーケン・ツヴァイを説得しようとしており…。さらには、竜紋変色者を処分するためにロキ少佐率いるニブルの部隊・スレイプニルまでもが参戦、状況は目まぐるしく変化していく──。そんな中、イリスの身に、彼女が能力を継承したドラゴン・”赤”のバジリスクに関わる変化が生じており、ドラゴンとDの真実が少しずつヴリトラによって明らかになっていく。─。

 今作は前巻から続くクラーケン・ツヴァイとの戦いの決着編。クラーケン・ツヴァイは”人”か”ドラゴン”かに葛藤する悠たちの心情が丁寧に描写されていてスッと物語に入り込むことができる。特にクラーケンの子、つまりつがいになった篠宮都の子でもあることから人であることを願う深月、ジャン、姉である篠宮遥と、反対に、ドラゴンであると主張するヴリトラ、ニブルの思想が絡まりあって、なんというか、お互いの主張も正しいこともあって切なくなった。

 また、能力の継承による代替わりなどのドラゴンの真実、それに伴うDの存在理由など、今作で明かされた情報も多く、あまりの衝撃に頭で理解するのに少し時間がかかってしまった。さらに、悠の中に存在する”悪竜”の正体、唯一の男性の”D”であること、キーリたちのいう”ノイン”との関係も少しずつ、予想ができるほどには判明してきて、おそらく次の巻で完全に明らかになると思う。

 まとめると、新章が開幕したとともに、ヴリトラ、ロキ少佐のそれぞれの思惑が交差し、それに翻弄される悠たち、と、ここから物語が佳境に向かっていくと感じた話だった。