【レビュー】豚のレバーは加熱しろ
豚のレバーは加熱しろ
豚のレバーは加熱しろ(1) (電撃文庫) [ 逆井 卓馬 ] 価格:693円 |
豚のレバーを生で食べてしまい気絶した冴えないオタクの俺。目を覚ますとなぜか豚になっていた───。そんな俺を助けてくれたのは人の心を読むことができる【イェスマ】と呼ばれる種族の少女・ジェス。とても優しくお世話をしてくれるこの生活を続けていきたいと思っていた俺だったが、彼女には一つの目的があった。それは、王都へ行くこと。そして豚になってしまった俺も人間に戻る方法を探るため王都へ向かうことになる。一人の少女と一匹のブタの珍道中が幕を開ける───。
主人公が転生した先が『豚』であったという一風変わった転生もの。しかし主人公には何の特殊能力もなくただの豚です。なにか魔法を使えるわけでもなければ日本語を話せるわけでもない、ただの豚。でもそんな中でもジェスに危機が訪れた際には、わが身を犠牲にしてでも守ろうとするその行動力に心を揺さぶられました。そして、ヒロインであるジェス。この子が良い子過ぎます。誰の悪口も言わず、お願いをされたら断れない、素直で、純粋で、言い表すならば聖人っぷりがすごい。前半部分ではこの純粋さ加減に多少の違和感を覚えるのですが、物語終盤ではこの理由も明かされスッキリします。あ、ちなみに彼女は16歳です。もう一度言います。彼女は16歳です。
ポイント
- 作中に登場する【イェスマ】という種族は心を読むことができるので、話すことができない主人公の心の声、つまり地の文も読まれてます。つまり主人公の欲が駄々洩れです。笑ってしまいます
- ジェスが素直すぎる理由、彼女の年齢、【イェスマ】の能力の由来など後半に行くまでの謎が多く、若干の推理要素も持ち合わしているので考えながら読むのが楽しいです。
【レビュー】恋愛する気がないので、隣の席の女友達と付き合うことにした。
恋愛する気がないので、隣の席の女友達と付き合うことにした。
恋愛する気がないので、隣の席の女友達と付き合うことにした。(1) (ファンタジア文庫) [ 岬 かつみ ] 価格:748円 |
高校受験に失敗し、祖父母が暮らしていた田舎に戻ってきた和泉凛太郎。しかしその家はネット回線もつながっておらずBS放送が無ければ地上波で深夜アニメも見ることができず、挙句の果てには行きのフェリーの中でスマホを失くしてしまうという最悪な事態に見舞われてしまう。そんな彼が通うことになった高校は田舎であるためか恋愛に目がない生徒ばかりで……。恋愛する気がない凛太郎は、隣の席の、同じく恋愛に興味がない少女・友近姫乃と出会い、仲良くなっていくのだが、ある日姫乃からある提案をされる。
「友近たち、付き合ってることにしちゃうのはどうかな?」
この提案を切っ掛けに、彼らの偽りの恋愛が幕を開ける───。
恋愛する気がないので、隣の席の女友達と付き合うことにした。 (ファンタジア文庫) | 岬 かつみ, 庄名 泉石 |本 | 通販 | Amazon
偽装恋愛もの、ということでまず「ニセコイ」を思い浮かべました。ですが、中身は全くの別物。すごい王道のラブコメって印象を受けました。登場人物も多種多様で、天然でおっとりとした同級生・友近姫乃、父親が経営をしている喫茶店でメイドをしている、クール系少女・氷室有希、姫乃の後輩でからかったりすることが大好きな小悪魔系女子・天ヶ瀬ありさ。と、可愛い女の子も多いです。
そして、舞台となっているのは香川県なのですが、最近制定された“あの”条例にも触れていてクスッとしました。まさかこんなところで時事ネタを拝めるとは……。
今作では、一つの大きな課題を解決するために物語が展開されましたが、今回で明かされたものは全てではなく、まだ不明なこともあるので、今後どのように展開していくのか楽しみです。
【レビュー】友人キャラは大変ですか?4
友人キャラは大変ですか?4
友人キャラは大変ですか? 4 (ガガガ文庫) [ 伊達 康 ] 価格:631円 |
自称・“友人のプロ”を名乗る小林一郎は友人である火乃森龍牙を主人公とするべく日々奔走していた。ある日、龍牙の仲間であるヴァンパイアのエルミーラ・マッカートニーが、理由あって敵である使徒の味方をする、という置手紙を残して失踪してしまった。必死になって捜索をする龍牙たち一行。そして、エルミーラさんと再会することに成功したのだが、なぜかよりにもよって友人キャラを貫きたい小林一郎が見つけてしまう。さらに、なぜか再会した彼女は赤ちゃんを連れた子連れヴァンパイアとなっていた───。
相変わらず友人キャラを貫くことができない小林一郎はもはや可哀想。ここまで望んでないのに目立つキャラもそうそういないのではないでしょうか。むしろ本当に主人公なのでは……。(殴)
あと、女の子キャラが基本的にみんな可愛いです。それぞれのキャラにちゃんと個性があり、恐らく一人はお気に入りの子が見つかるのではないでしょうか。
最後に、挿絵を担当している紅緒さんのイラストがとてもいいです。個人的に透明感のある塗りや目の繊細な感じ、全体的な可愛さが好きです。
【レビュー】探偵はもう、死んでいる。3
探偵はもう、死んでいる。3
探偵はもう、死んでいる。3 (MF文庫J) [ うみぼうず ] 価格:704円 |
ある日突然さらわれた君塚、夏凪、斎川、シャル。そこで彼らは名探偵・シエスタの死の真相を知った。しかし、そこに現れたシエスタそっくりの少女は言った、「今の映像に隠された間違いを探してほしい」と……。そして、失われていた夏凪の記憶が思い起こされるのを切っ掛けとし、斎川、シャルに隠された真実も明らかになっていく。シエスタが犯した一つのミス。すべてが明らかになるとき物語にエピローグ……否、プロローグが訪れる。
前作にて判明したシエスタの死の真相。それを君塚たちが知った直後から物語は始まります。今作では夏凪の過去や、斎川の生い立ち、シャルの使命、それぞれにシエスタとのかかわりが存在し、時系列も現在と過去を行き来します。場面転換が多く行われることによってまず飽きが来ません。また1、2巻の内容も含めた上での伏線も張ってあり、もう一度1、2巻を読み返したくなってきます。とにかく伏線の回収が凄く感嘆のため息しか出ません。今作までを含めて一つの大きな物語が終結し、新たな物語が始動する、このストーリー構成の全てが丁寧に繋がっていて、素晴らしい作品になっていると思います。
【レビュー】Re:ゼロから始める異世界生活17
Re:ゼロから始める異世界生活17
Re:ゼロから始める異世界生活17 (MF文庫J) [ 長月 達平 ] 価格:704円 |
『憤怒』の大罪司教シリウスによって殺され『死に戻り』を果たしたスバルだったが、戻ってきたのは事が起こる十五分ほど前という、前代未聞な状況に立たされてしまう。スバルは短い猶予の中奔走するが、状況は悪化していき…。そして占拠される水門の制御塔。さらには、運命のいたずらか『憤怒』の大罪司教だけでなく『強欲』『色欲』『暴食』の大罪司教までもがプリステラへ姿を現す───。
まずは、スバルの猶予の無さすぎる『死に戻り』についてですが、…これ無理ゲーではないですかね?相手の戦力や目的を完全に把握する間もなくやってくる死。結果として完全に対策できなかったために状況が悪化することになってしまうのですが、自軍には王選候補者の陣営、相手は現状判明している五人の大罪司教。これはもう魔女教との全面対決ということでいいと思っています。
新キャラとしては魔女教大罪司教『色欲』担当、カペラ・エメラダ・ルグニカが初登場しますが、私としては…結構苦手なタイプのキャラです。そもそも大罪司教はどれもどこか狂ってるんですが、どうも『色欲』は度が過ぎているというか、恐ろしい、といった感じで『強欲』のレグルスの次に嫌いなキャラかもしれないです。…え?『強欲』がなぜ嫌いか、ですか?生理的に無理です気持ち悪いですごめんなさい。(誉め言葉)
怒涛なバトル連続で絶望感もそれなりにやばいですが、この五章は16~20巻からなっている話なので次で折り返し。ということは起承転結における「転」に差し掛かるのではないかと思っているので早くスカッとしたいです。
【レビュー】ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15 (GA文庫) [ 大森藤ノ ] 価格:704円 |
深層での大激闘から帰還することができたベルたち。そして訪れたつかの間の休息。彼らは今まで積み重ねてきたものが生み出した『現在』を、そして彼らがこれまで歩んできた『過去』を振り返る───。
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか15 (GA文庫) | 大森 藤ノ, ヤスダ スズヒト |本 | 通販 | Amazon
一つの大きな戦いが終わり、久方ぶりの日常回です。休息の中でそれぞれが『過去』を振り返るといった内容となっています。
ベルは迷宮都市でヘスティアと出会った『始まりの日』を。
同じくヘスティアは下界に降り立ち、ベルと出会った日を。
リリは自らが犯してしまった『灰の過去』を乗り越え。
エイナはかつて担当冒険者を失ってしまった傷を。
ヴェルフは血族という呪いから解放させようと手を貸してくれた一人の女神を。
リューは今は亡き仲間との出会いを。
命と春姫は互いの出会い、努力、想いを。
各キャラの過去は今までも語られたことはありましたが、今回はより深く掘り下げられ、それぞれのキャラに対する理解度がより深くなったと思います。
戦闘と呼べるものはほぼ無く、本当に「日常回」といった感じになってはいますが、読み応えはばっちりで、この「ダンまち」という世界に引き込まれること間違いなしです。
【レビュー】ロクでなし魔術講師と禁忌教典5
ロクでなし魔術講師と禁忌教典5
価格:660円 |
アルザーノ魔術学院い特別講師として招かれたのは、白猫ことシスティーナの許婚であるレオス=クライトスであった。しかし、結婚することを望んでいないシスティーナはグレンが自分の恋人であると嘘をつくのだが──。
そして、システィーナを賭けて行われるグレンとレオスの担当クラス同士の魔導兵団戦。格上のクラス相手にグレンが提案する作戦とは…。決闘の裏で暗躍する『正義』、そしてグレンはアルベルトによって、一人の「彼女」との過去を思い出し───。
ついに私の推しキャラである白猫メインのお話がやってきました。今回の話はアニメ化もされている範囲なのですが、アニメの場合後半に差し迫っていたため駆け足で進んでいきました。なので、色々な知識が保管されていたり、内面描写が増えたことによってアニメよりも面白く感じました。(そもそもアニメと書籍では媒体が違うので一概にアニメの批判がしたいわけではありません。)
個人的に気に入っているのが白猫の恐怖の描写です。今世には様々な作品がありますが多くの作品は正義感が強すぎたり人並外れた精神力を持っていたりします。この作品に関してもルミアはそれに当てはまっていると思います。しかし、白猫は年相応、というか、実際に目の前で自分とかけ離れた“モノ”を見たら恐怖するように、彼女はまだ“少女”であるというのを実感させてくれます。このファンタジーな世界もその中で生きている人にとっては現実である、というのがとても好きです。まあ、その後の行動含めて白猫が好きなキャラになっているのですが。
そして、タイトルにもなっている禁忌教典-アカシックレコード-の名前も遂に登場して、ここからどんな展開になっていくのかがとても楽しみです。